HEART(心)の文字のなかにART(芸術)があるように、
思いというカタチ(表現)をアーティストとして伝えたい
私のメモリアルジュエリー制作の原点は、1994年の人の存在を表現しようとするアート作品に遡ります。自然と、人の最も古い思いの発現であるジュエリーという形式に心惹かれるようになり、1997年に初めてのメモリアルジュエリーを制作することになりました。そして2000年、京都市内に小さな工房を構え「京都絆屋プロジェクト」を立ち上げました。
京都絆屋は、芸術作品としての枠組みを超え、伝統的な「センチメンタルジュエリー」の現代的解釈として認知されるとともに、そのブランドイメージを通じてより幅広い人々に向けた活動を続けてきました。以来、個々人に相応しい表現を求める社会の潮流にも恵まれ、多くの人々の関係性を「カタチ」に作りあげる機会に携わることができたのは、本当に幸せなことでした。
しかしながら近年メモリアルジュエリーが社会に認知されるに従い、遺骨・遺髪などの「身体性をとり込むことで成立するプロダクト」が大量に生産され、商業的な大きな流れとなってきました。かけがえのない存在、一期一会であるはずのものが、テンプレート化されてしまう。私はこの流れの始まる前から制作に携わってきた者として、少なからず違和感を感じています。
人々の想いと表現者としての想いを、どのように重ね合わせていけば良いのか、あらためてアーティストとしての表現に立ち返り、模索を重ねながら取り組んでいきたいと思っています。